私は父親と母親のからだのなかで、その人生を共に生きてきました。
ここが重要なポイントです。同じように祖父や祖母の人生も共に歩んできました。
ですから、それらの方々の人生のいいことも悪いことも含めて、すべて私の人生なのです。
同じように曾祖父母やその前の代、その前の代とさかのぼってもその理屈は変わりません。
極端な話ですが、そのように考えていって究極までさかのぼってみると、私は人類が生まれたと同時に生まれ、今まで多くの人生を生きてきたとも言うことができます。
あなたのこれまでの人生をイメージしてみてください。
長い長いアフリカでの生活、そしてアフリカ大陸を離れて現在の土地に至るまでの長い長い旅路を・・・。どれほど多くの人生を歩んできたのでしょうか。先祖を通して生きてきたその想いや願い、喜びも悲しみもすべてこの私のからだに宿っていることを私たちはすっかり忘れてしまっていたのです!
個体が変わっても、細胞はずっとつながり続けているのです。代替わりしても同じ生物なのです。
20万年の時空を超えて網の目のようにつながっている細胞のつながりをイメージしてみてください。
すべての人類は出発点が共通なので、さかのぼっていけば必ずあなたも私もどこかでつながっています。人類、ホモサピエンスは時空を超えてつながったひとつの生物だったのです。
細胞のつながりを通して時空を超えた、たくさんの個体が連続するひとつの生命体としての人間。
科学の最前線である量子力学の世界では、私たちが普段当たり前と思っていることが、まったく違った不思議な姿で現れることがあります。その量子力学の視点から人間の本質や生命の価値について考えた本書【量子「人間」学】の一部を朗読しました。